Measure What Matters
伝説のベンチャー投資家がGoogleに教えた成功手法 OKR
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読書メモ
全体まとめ
中途半端に OKR を導入しても組織はあんまり変わらなそう、やるからにはとことんやらないと、って感じ
いま『ティール組織』を読むと、自分の考えがさらに先に進みそうだな、と感じる 結局、目標はあった方がいいの?ない方がいいの?
ぼくは「ビジネスが大成功した!」って事例より「人間が大成長した!」って事例の方に心を惹かれるっぽいな
「ズーム・ピザ」「ルメリス」「ONE」のケーススタディは感情を揺さぶられながら読んだ
序文
僕はプロセスと名の付くものは大嫌いだが、優れたアイデアが完璧に実行されたとき、初めて魔法が起こる。だからOKRが必要なのだ。
僕は序文というものをあまり書かない。それでも本書に書いたのは、あのときジョンがグーグルにすばらしい贈り物を与えてくれたからだ。
いきなり口が悪くておもしろい
第1章 グーグル、OKRと出会う
セルゲイは陽気で気分屋で、はっきりとモノを言い、どんな知的難題でもひょいと飛び越えてしまうところがあった。旧ソ連で生まれ、移民としてアメリカにやってきた。交渉相手としては抜け目なく機転が利き、リーダーとしては一本筋が通っていた。現状に安住せず、常に向上しようとする。会議の真っ最中でも突然床で腕立て伏せを始めてしまうタイプだ。
どんなタイプだよ
プレゼンの最後に、私は 今日 でもまったく変わることのないOKRの意義を繰り返した。 OKRはみなさんの最も重要な目標を明確にする。全員の努力のベクトルを合わせ、協力させる。組織全体に目的意識と連帯感をもたらし、多様な活動を結びつける。
ここ、とても重要に感じてハイライトした
各自がバラバラに O と KR を設定するのはちがう、ってことだよね
ちょうどインテルが創業した1968年に、メリーランド大学の心理学教授、エドウィン・ロックが提唱したある理論は、アンディ・グローブに大きな影響を与えた。ロックはこう言った。第1に、「困難な目標」のほうが、楽な目標よりパフォーマンスを高めるのに有効である。第2に、 具体性のある 困難な目標のほうが、曖昧な文言で書かれた目標より「アウトプットの水準が高くなる」。
しかし熱意は具体的に どうすれば 醸成できるのか。デロイトが2年間かけて実施した調査によると、「目標が明確に定義され、明文化され、オープンに共有されていること」以上に影響力の大きい要因はない。また「目標は組織の団結、明確さ、仕事に対する満足度につながる」。
困難で、具体的で、明確に定義され、明文化され、オープンに共有されている、そういう目標がよい、と
目標設定は万能ツールではない。「矛盾する優先課題がある、あるいは目標が不明確、無意味、恣意的に変更されることがあると、従業員の不満は募り、冷めた態度を取るようになり、意欲は 削がれる」。
うまくやらないと逆にパフォーマンスが落ちる、なるほど
実体験としても「そうだな」と思える
私は投資家として、OKRを 買い だと思っている。グーグルやインテルの出身者が転職した先でOKRを普及させ、いまや業種も規模もさまざまな何百という会社が体系的な目標設定に取り組んでいる。OKRはあらゆる環境に適したスイス・アーミーナイフだ。OKRの採用が最も進んでいるのは、機敏さとチームワークが成功の絶対条件とされるテクノロジー業界だ(本書で取り上げた企業以外にも、AOL、ドロップボックス、リンクトイン、オラクル、Slack、スポティファイ、ツイッターなどが採用している)。
テクノロジー業界と相性がよいとのこと
じゃあやっぱり、ぼくも使えるようになっておいた方がいいよな〜
組織にOKRが浸透すると、能力主義が年功序列を駆逐する。管理職はコーチとなり、メンターとなり、戦略を描くようになる。言葉より行動(そしてデータ)がモノを言う。
こういった世界観に魅力を感じるなら、やってみる価値はあるだろう
第2章 OKRの父
グローブは当時のカビの生えたようなマネジメント理論に背を向け、新鮮で独創的な仕組みを創ったのだ。ただ厳密にいうと、グローブの「目標と主要な結果」は無から生まれたのではない。その原型は存在した。グローブはウィーン生まれの伝説的思想家で、「近代的」経営理論の先駆者であるピーター・ドラッカーの手法に従ったのだ。
ドラッカーが示そうとしていたのは「個人の強みと責任感を発揮させつつ、同時に全員のビジョンと努力の方向性を一致させ、チームワークを醸成し、個人の目標と全員の幸福を調和させるような経営の原則」である。 4 ドラッカーは人間性に関する基本的真実を見抜いていた。「人に自らの進む道を選択させると、最後までやり遂げる可能性が高まる」と。1954年に出版された代表作『現代の経営』では、この原則を「目標と自己統制による管理」としてまとめた。これがアンディ・グローブの出発点となり、 今日 われわれがOKRと呼ぶものの起源となった。
起源をたどると 1954 年にまでさかのぼるのだねぇ
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MBO : Management by objectives (目標による管理)
第3章 クラッシュ作戦――インテルのケーススタディ
今振り返っても、本当によく成功したと思う。そこから学ぶべき教訓は、企業文化が重要であるということだ。アンディは常に社員に対し、問題があれば経営陣に報告することを期待していた。現場の技術者が直属のゼネラルマネジャーに対して「本社のあんたらは、市場で何が起きているかまるでわかっちゃいない」と報告してから2週間も経たずに、会社全体が方針転換したのである。「告発者が正しい。われわれはやり方を変える必要がある」と全員が合意した。ドン・バックアウトとケイシー・パウエルが報復を恐れずに真実を語ろうと思えたことは、非常に重要だった。彼らの告発がなければ、クラッシュ作戦も存在しなかったのだ。
ツールだけ取り入れても組織の文化がないとうまくいかないだろう、って話か
18、19、20 章がそういうお話
「ダメ会社は危機で潰れる。良い会社は危機を乗り切る。最高の会社は危機を 糧 にする」
ぼくが身を置く組織も、いつだって危機を糧にできるようなものであってほしいし、自分もそうありたい
第4章 OKRの威力① 優先事項にフォーカスし、コミットする
正しい意思決定を促し、団結心を高め、最高のパフォーマンスを実現するには、組織の誰もが最上位の目標を明確に理解している必要がある。しかし企業の3分の2は、こうした目標を組織に一貫性を持って伝達できていないと考えている。 31万1000人の企業幹部や管理職を対象とする意識調査では、大多数が自らの会社の最優先課題を2つ以上挙げられなかった。1つだけ挙げられた人も、半数に過ぎなかった。
これは耳が痛い感じがするな…
リーダーは、 何をだけでなく、 なぜ も伝えなければならない。社員の意欲を引き出すためには、目標を示すだけでは足りない。彼らはやりがいを求め、自分の目標が会社のミッションとどのように結びついているかを理解したいと思っている。そして最上位のOKRを、四半期に一度の全社会議で発表するだけではいけない。リンクトインのCEO、ジェフ・ワイナーの口癖がある。「うんざりするほど繰り返してようやく、みんなが耳を傾けるようになる」
一度だけ言うくらいじゃぜんぜん浸透しないようね、ってのはぼくの体感とも一致する
私の経験では 今日 の変化の激しい市場環境では、四半期サイクルでOKRをまわすのが最適だと思う。3カ月先に締め切りが見えていれば、仕事を先延ばしすることはできず、本物のパフォーマンス向上につながる。
だとしたら、ぼくは 2020 年の 2Q を対象にやってみようかな〜
しかし、四半期ごとの OKR 運用で「短期目標に引っ張られて、長期の視点を失う」ってならんのかな?
ではここで、目標設定の基本的ルールをいくつか確認しておこう。「主要な結果」は簡潔で、具体的で、測定可能であること。アウトプットとインプットを組み合わせることが有用であること。最後に、すべての「主要な結果」を完了すれば、 必ず 目標は達成される。さもなければ、それはOKRとは言えない。
さらっと大事な定義が述べられる
「優れた経営とは、一見重要度が同じような数多くの活動のなかから、圧倒的に影響力の大きいものを1つか2つか3つ選び、そこに集中する能力にほかならない」とグローブは書いている。
ラリー・ペイジはそれをこんな言葉で表現している。勝利する組織は「少ない矢を全身全霊で 射つ」と。OKRの1つめの威力は、この短いフレーズに凝縮されている。
極めて重要なことにフォーカスする、なるほどな〜と思いました
第5章 フォーカスする――リマインドのケーススタディ
しかし高校3年のとき、デニス・ホワイトフィールドという名の教師がマンツーマン指導をしてくれたことで、私の人生が変わった。
ブレット・コプフさんのこのエピソード、よすぎたな〜
私は周囲に対して、自分の目標に対する進捗状況(あるいは進捗していない事実)を包み隠さず伝えてきた。「これが僕の取り組んでいる3つの目標で、これについてはまるきりダメだ」といった具合に。社員がCEOの優先事項を知り、それに自分の仕事の方向性を合わせ、会社全体で最大の効果を達成できるようになっている必要がある。また失敗しても構わないこと、失敗したら修正して先へ進めばよいのだとわかっていることも必要だ。失敗を恐れてはならない。それはイノベーションの足かせとなる。
CEO の OKR とその進捗がいつでも確認できる環境でお仕事してみたいな〜〜〜
第6章 コミットする――ヌナのケーススタディ
コミットメント(全力で打ち込む姿勢) はフォーカスと並ぶ、OKRの1つめの威力の核となる要素だ。OKRを実施するリーダーは目標にコミットすることを公言し、断固としてそれを貫く姿勢を示さなければならない。
はい…!
今から思えば、経営チームの5人から始めればよかったと思う。ヌナが手痛い失敗を通じて学んだのは、体系的な目標設定を定着させるには、まず経営幹部がそのプロセスにコミットする必要がある、ということだ。幹部クラスがOKRへの抵抗感を克服し、そのプロセスになじむには1~2四半期はかかる。その間にOKRを必要悪と見たり、うわべだけやろうとするのではなく、組織の最優先目標を達成するための実用的ツールだと認識してもらうのだ。
導入がスムーズにいかなかった組織の話、参考になる
社員から真のコミットメントを引き出すには、リーダーが率先垂範しなければならない。他の人々に期待する行動を、まず自分が示すのだ。私が自分の個人OKRを全社員ミーティングで共有することで、OKRをやろうという空気があれほど盛り上がるとは驚きだった。私自身もOKRの達成に責任を負うことが、全員にわかったのだ。コントリビューターである一般社員は、遠慮なく私のOKRを評価し、改善方法を提案した。そのプロセスに大きな意味があった。
これはいいな〜 その空気を想像するだけでテンションが上ってくる
第7章 OKRの威力② アラインメントと連携がチームワークを生む
ソーシャル・メディアの台頭によって、透明性は私たちの日常生活のデフォルト設定となった。
この一文から章が始まるの、よすぎない?
研究では、公開された目標のほうが、非公開のものより達成される可能性が高いことが示されている。 1「公開」にスイッチを切り替えるだけで、組織全体の目標達成率は上がる。アメリカの労働者1000人を対象とする最近の調査では、 92%が「同僚に業務の進捗状況が公開されているほうが目標達成の意欲が高まる」と回答した。
仮に OKR じゃない方法で運用するとしても、これは覚えておくとよさそうですな
会社全体の目標が定まったら、そこからが本番だ。OKRは計画段階から実行段階へ移行し、管理職もコントリビューターも日々の活動を組織のビジョンと結びつけなければならない。これを アラインメント と言い、その重要性はどれほど強調しても足りない。 3《ハーバード・ビジネス・レビュー》誌によると、従業員が会社の目標に対してアラインメントできている会社は、業界上位に入る確率が同業他社の2倍以上である。
イノベーションは組織の中心より、端っこから生まれることが多い。最も価値のあるOKRは、たいてい役員フロア以外から出てくる。アンディ・グローブはこう語っている。「最前線にいる人々は、目の前に迫った変化にいち早く接する。営業担当は経営陣よりも早く、顧客のニーズの変化に気づく。企業のファンダメンタルズが変化したとき、最初に察知するのは金融アナリストだ」
リーダーが会社と従業員のニーズの変化に敏感であれば、トップダウン目標とボトムアップ目標の比率はたいてい半々になる。それが適切な状態だと私は思う。
「半々になる」ってのは目安としておもしろいですね
目標が公開され、全員が見られるようになっていれば、トラブルが浮上するたびに「最強のチーム」が結成される。ボックはさらにこう加える。「誰かが場外ホームランを放てば、すぐにみんなが成功の原因を調べようとする。誰かが失敗ばかりしていれば、やはりみんなが調べようとする。透明性によって全員にきわめて明確なシグナルが送られる。こうして全員の業務遂行能力を向上させるような好循環が生まれる。しかもマネジメントの負担はゼロ。実にすばらしい仕組みだ」
この文を読むと「最高じゃん」って気持ちになる
第8章 アラインメント――マイフィットネス・パルのケーススタディ
OKRは孤島ではない。むしろその逆で、組織にとって最も重要な仕事を成し遂げるための縦横斜めのネットワークを生み出す。従業員が会社の最も重要な目標に意識を合わせると、その効果は何倍にもなる。無駄な重複業務や非生産的な働き方はしなくなる。
ネットワーク思考のぼくなので「縦横斜めのネットワークを生み出す」という表現はグッとくる 私はマイフィットネス・パルを立ち上げる前に、いくつもの会社で働いた。しかし正式な目標設定システムを導入していたところは1つもなかった。財務計画、売上目標、それらにまつわる漠然とした戦略はあったが、体系的あるいは構造的な仕組みはなかった。かつての勤務先にもう1つ共通点があったのは、偶然ではないだろう。それは社内の意識がバラバラであったことだ。他の部門が何をしているのか、共通の目標に向かってどんなふうに協力すべきなのか、まるでわからなかった。それを埋め合わせるために会議を増やしたが、時間の無駄だった。
OKRのプロセスは回を重ねるたびに、少しずつうまくまわるようになった。目標はより簡潔になり、「主要な結果」はより測定可能になり、達成率は向上した。コツをつかむまでには2~3四半期かかった。特に会社全体の目標達成にかかわるような重要なプロダクトや機能についてはそうだ。
いきなりうまく運用するのはむつかしいもの、という認識で取り組むのがよさそうだねぇ
私たちの意思決定はすべて、ビジョンに合致したものでなければならない。お客様か事業目標かの二者択一を迫られたら、常にお客様を選ぶ。
これを言い切るのいいね… とぼくが思ってしまうのは、そういう現場ばかりではないと知っているからだろう
第9章 連携する――インテュイットのケーススタディ
適応力のある組織は、たいてい組織内の連携が非常に良い。インテュイットの透明性の高い文化は、共同創業者のスコット・クックが植えつけ、長年CEOと会長を務めた〝コーチ〟ビル・キャンベルが育てた。
マネジャー・クラスのOKRの閲覧回数は四半期ごとに合計4000回を超える。社員1人あたり平均7回見ていることになり、最前線の社員が積極的にOKRに取り組んでいる様子がうかがえる。
少し話はそれるけど、ドキュメントの閲覧回数を計測しているの素晴らしいですね…!
今日 のIT部門の役割は、単に他部門からのヘルプ要請や変更依頼を処理することにとどまらない。重要なのは事業への「付加価値」を生み出すこと、つまりシステムの重複を整理する、新たな機能を生み出す、未来志向のソリューションを見つけるといったことだ。
現場で働く従業員は、自分の仕事が会社全体の目標とどうつながっているかがわかると意欲的になるということは、さまざまな研究で繰り返し明らかにされてきた。私の経験では、これは特に本社から離れた拠点で顕著だ。バンガロールの社員からは、こう言われた。 「私の目標はマネジャーのOKRの『主要な結果』そのものであり、それはEBSのトップレベルの目標と直接結びついていて、EBSの目標はクラウドへのシフトという会社全体の方針と結びついている。ようやく自分がインドでしている仕事が、会社のミッションにどう結びついているかがわかった その効果は絶大だ。OKRは世界各地に広がったIT部門を1つにした。体系的で可視化された目標設定のおかげで、私たちを隔てていた壁は消滅した。
組織の中の壁が消滅するのすごい
インテュイットはもともとフラットな組織で、CEOから最前線の社員までの階層はわずかしかなかった。創業者のスコット・クックには、一番偉そうな肩書ではなく一番優れたアイデアが勝つべきだという信念があり、それは組織にしっかり根づいている。
最高の信念だね〜
第10章 OKRの威力③ 進捗をトラッキングし、責任を明確にする
OKRの利点として見過ごされがちなのが、 トラッキング 可能であること、それによって設定した内容を見直したり、あるいは状況変化に 適合 させたりできるという点だ。従来型の「ひとたび設定したらおしまい」というような硬直的な事業目標と異なり、OKRは生き生きとした呼吸する生き物だ。
2014年にビル・ペンスがグローバル最高技術責任者(CTO)としてAOLに入社したとき、全社目標や事業部の目標はすべてスプレッドシートに記載され、そこから各階層に展開されていた。「だがホーム画面、すなわち社員が日々状況を確認できるような場がなかったのだ」とペンスは語る。状況に合わせて頻繁に更新していかなければ、目標は妥当性を失ってしまう。計画と現実との乖離は日を追うごとに広がる。四半期末(ひどい場合には年度末)には目標や手段をただ書面化しただけの、活力も意義もないゾンビOKRが残るだけだ。
ゾンビ OKR とは…
これ、ただ「見ることができる」だけでは不十分で「見やすい」状態まで持っていかないと運用が死ぬかもしれないって話
AOLのCEO、ティム・アームストロングは、社内の目標が「あまりにバラバラだ」と感じていた、とビル・ペンスは振り返る。 「目標のあいだに相互のつながりがなく、組織の上下に伝えられることもなかった。年間を通じて、従業員や彼らの仕事とのつながりが維持されていなかった」
縦にも横にも「つなげる」仕組みがあるといいのだなあ
グーグルが基準としている確認頻度は最低月1回だが、目標に関する議論は常に行われているため、正式な会議が忘れられることも多い。
常に会話があって会議が不要になるの最高っぽい
グーグルの社員はパフォーマンスの自己評価をする際、OKRをそのまま評点として使うのではなく、あくまでも参考とするよう勧められている。
このあたりの塩梅はむつかしいな…
どんな組織にも自らに厳しい評価を下す人もいれば、甘い人もいる。どちらのケースでもアラート担当者かチームリーダーが介入し、再評価を手伝う。最終的には数字よりも、状況に応じたフィードバックやチーム全体での広い視点に立った議論のほうが重要だ。
背筋が伸びる気持ち
哲学者で教育者でもあるジョン・デューイは、さらに一歩踏み込んでいる。「われわれは経験からは学習しない。(中略) 経験を振り返ることで学習するのだ」と。
第11章 トラッキング――ゲイツ財団のケーススタディ
2000年に誕生したビル&メリンダ・ゲイツ財団は、200億ドルの資金力を持つスタートアップという史上類例のない存在だった。
すごすぎて笑えてくる
誕生したばかりの組織は、このうえなく壮大なミッションを掲げていた。「すべての人は健康で生産的な人生を送る権利がある」。そこで財団のリーダーたちは、世界の健康問題に人生を捧げてきた優秀な人々を集め、こう問いかけた。「漸進的進歩を目指すのはやめよう。無限にリソースがあるとしたら、いったい何をする?」
すごすぎでしょ
こういう状況だと OKR の威力が炸裂しそう
第12章 OKRの威力④ 驚異的成果に向けてストレッチする
ビル・キャンベルはよくこう言っていた。「企業はイノベーションを続けなければ、死んでしまう。 繰り返し ではない、 イノベーション だ」。 保守的な目標設定はイノベーションの芽を摘む。イノベーションは酸素のようなもので、それなくして私たちは生きていけない。
ジェームズ・コリンズは著書『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』のなかで、「社運を賭けた大胆な目標(BHAG)」という印象的な概念を提示している。
BHAG : Big Hairy Audacious Goals、ビーハグ 「目標が困難であるほど、パフォーマンスのレベルは高まった。きわめて高い目標を設定した被験者は、きわめて容易な目標を設定した被験者と比べて目標を達成する割合は大幅に低かったが、前者のほうが後者よりパフォーマンスのレベルは高かった」
フォーカスとコミットメント は決定的違いを生む目標を目指すには不可欠だ。
常識をはるかに超える成果を出せるのは、透明性が高く協力的で、 アラインメントと連携 のある組織だけだ。
そして量的な トラッキング なくして、 ストレッチ 目標を達成したことを確認することはできない。
フォーカス、コミットメント、アラインメント、トラッキング、ストレッチ
グーグルはOKRを2つのカテゴリーに分ける。「コミットする目標」と「野心的(ストレッチ)目標」だ。両者には明確な違いがある。
「コミットする目標」ってのもあるんですねぇ
組織において「2 種類ある」と認識を揃えておくのは重要になりそう
アンディ・グローブは野心的OKRの守護聖人とも言うべき存在だが、その後を継いで第一人者となったのがラリー・ペイジだ。グーグルはテクノロジーの世界において、無限のイノベーションと飽くなき成長を追求している。OKRの世界においては、途方もなく果敢な目標を設定することで知られ、作家のスティーブン・レヴィはその姿勢を「 10 倍主義」と呼ぶ。
第13章 ストレッチ――グーグル・クロームのケーススタディ
「1ガロン 50 マイル走る車を開発したければ簡単だ。今の車に少し手を加えればいい。しかし1ガロン500マイル走る車をつくれ、と言われたら、ゼロから考え直さなければならない」
「ゼロから考え直す」ことを促すアプローチなんだな、ってことがわかる
私はコンピュータと半導体に関して入手できる本はすべて読んだ。なんとかシリコンバレーに行きたいと願っていた。そのためにスタンフォード大学に行き、かの地で起きている重大な変化の一部となることが目標だった。ある意味では、身のまわりのテクノロジーがあれほど限られていたからこそ、あれほど熱烈にシリコンバレー行きを夢見たのだと思う。想像力が私の原動力だった。
こう語る人が Google で CEO をやっているんだから、ドラマティックだよなあ
またJavaスクリプトの動作速度をはるかに高める必要性があることもわかっていた。
「Javaスクリプト」はよろしくないので、これ出版社さんにフィードバックしたいね、調べてみよう
OKRは質的飛躍に向かって、明確な量的目標を与えてくれる。
きれいなまとめ方だねぇ
第14章 ストレッチ――ユーチューブのケーススタディ
1998年9月にグーグルが設立された数日後、スーザンはメンローパークにあった自宅ガレージを同社に貸した。ここがグーグルの初代本社となった。その8年後、アナリストからユーチューブの存続を危ぶむ声が高まるなか、グーグル取締役会にその買収を認めさせた中心人物がスーザンだ。ネット動画がテレビネットワークに破壊的変化をもたらすこと、しかもそれが不可逆的な変化であることを、スーザンは見抜いていた。
ラリーとセルゲイにガレージを貸したとき、私は会社としてのグーグルにはまるで興味がなかった。単に家賃収入が欲しかっただけだ。
笑う
2人はそれまで会社を経営したことはおろか、会社に勤めたこともなかった。そこへジョンがやってきて「これは会社を経営する1つの手段であり、測定可能でトラッキング可能だ」と言ったのだ。ラリーとセルゲイは測定可能なものに直感的に惹かれるところがあった。
なんか「わかる気がする」ってなるからすごい
グーグルの無料動画共有サイト「グーグルビデオ」は、2005年にサービスを開始した。ユーチューブが登場する1カ月前のことだ。私が担当者だったとき、チームがユーザーのために初めてアップロードしたのは、紫色のマペットがバカバカしい歌をうたっている動画だった。セルゲイと私にはどこが良いのかわからなかったが、私の子供たちは「もう一度見せて!」と大喜びした。それでひらめいた。これは次世代のビジネスチャンスなのだ、と。
そっか、Google も動画共有サイトをつくっていたんだっけか
よく引き合いに出したのはスティーブン・コヴィーによって有名になった「大きな石」理論だ。
なるほど、大きな石がなんなのかを OKR で明確にするってことか 2011年9月、私は上司とユーチューブの幹部チームに挑発的なメールを送った。件名はこうだ。「一にも二にも視聴時間」。これは成功の指標を見直そう、という呼びかけだった。「他の条件が一定だとすれば、私たちの目標は〔動画の〕視聴時間を増やすことだ」。グーグル社員の多くは、これを邪道と思っただろう。グーグルの検索サイトは、ユーザーを最適な目的地に向けてできるだけすばやく送り出す「交換機」として設計されていた。視聴時間の最大化は、その崇高な使命への 冒瀆 だった。
Google じゃなくても、これむつかしいところだと思うな〜
ゲームならともかく、なにかを効率化するようなアプリケーションであれば「利用時間が長い」がよいことなのかよくないことなのかは自明ではないもんね
今だとゲームについても「とにかく長くプレイさせたらいい」とはならないのかね
結局6カ月かかったが、私の主張は認められた。記念すべき2012年3月 15 日、私たちは視聴時間を最適化するよう設計された推奨アルゴリズムを稼働させた。ユーザーのエンゲージメントと満足度を高めるのが目標だ。重視する指標を変えたことで、特に音楽、ハウツー動画、エンターテインメントや深夜番組のコメディ動画の分野で、ユーチューブは一段とユーザー・フレンドリーなプラットフォームになった。
か〜 すごい
「指標をなににするか」ってのは、そのまま「なにに重きを置くか」っていう価値観の話に直結する
野心的目標は、組織全体のリセットにつながることもある。ユーチューブにとって 10 億時間の目標は、会社全体のインフラの見直しにつながった。「会社が それほど 大きくなるなら、アーキテクチャを設計し直す必要があるかもしれない。ストレージの再設計が必要かもしれない」といった議論がされるようになった。会社全体として将来に対する備えを見直すきっかけとなった。誰もがより大きな視点でモノを考えるようになった。
いい話だ
第15章 継続的パフォーマンス管理――OKRとCFR
年1回の勤務評定はコストがかかり、エネルギーを消耗し、たいていは不毛だ。管理職は勤務評定のために、直属の部下1人につき平均7・5時間を費やす。それにもかかわらず、このプロセスが企業価値を高めるうえで「きわめて有効である」と考える人事責任者はわずか 12%にとどまる。 1 時間を費やすだけの価値があると考えるのは、わずか6%に過ぎない。 2 直近バイアスによる評価の歪み、相対評価や正規分布といった制約のために、このような年度評価は正当で合理的に算出されたものにはなりえない。
ピギャーーー
この抜本的変革をもたらす仕組みが、年次勤務評定に代わる今日的手法、 継続的パフォーマンス管理 である。それを実践する手段がCFRであり、以下の頭文字を取っている。
Conversation 対話
Feedback フィードバック
Recognition 承認
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組織内ではこの仕組みを『プロペル(推進力)』と呼んでおり、4つの構成要素から成る。
プロペルの 4 要素
月次 面談
四半期ごと 進捗を評価する会
半年ごと キャリア開発のための対話
常時 ふりかえり
継続的パフォーマンス管理に移行する場合、その第一歩は単純明快だ。報酬(昇給とボーナス)とOKRを切り離すことである。
ラズロ・ボックによると、グーグルではOKRが評定に占める割合は3分の1以下だという。それよりも部門横断的チームからのフィードバックや、何よりその人物の置かれた状況が重視される。
人間の行動は複雑で、まだ解明されていない部分も多い。そこには主観がかかわってくるからだ。 今日 の職場においても、OKRと報酬はまだ「友達」でいられる。完全に決別することはない。ただもはや一心同体ではなく、そのほうが健全だ。
「評価と切り離せ」ってのは何度も語られるから、本当に大事なのだろう
OKRのメリットを最大限に引き出すには、そのプロセスのなかにフィードバックを組み込んでおかなければならない。自分の仕事ぶりがどの程度かがわからなければ、改善できるわけがない。
未知に飛び込んで、とにかく学習を繰り返して、フィードバックを取り入れて、改善して、生存確率を上げる、の繰り返し
「今日 の労働者は何をすべきか命令されるのではなく、エンパワーメントとインスピレーション(知的刺激) を望んでいる。マネジャー から フィードバックが来るのを1年待ちつづけるのではなく、自分からマネジャー へ フィードバックを返したいと望んでいる。定期的にマネジャーと目標を議論し、仲間とそれを共有し、互いに進捗をトラッキングしたいと考えている」
労働者としての自分を鑑みても、たしかにそうだね〜と思う
承認はCFRのなかで最も過小評価され、最も理解されていない構成要素だ。同じ企業で長年働き、金時計をもらうことが夢であった時代は終わった。今日の承認は、パフォーマンスに連動した水平的なものだ。クラウドソース型の能力主義とも言える。
「甘っちょろく思えるかもしれないが、『ありがとう』と口に出して言うのはチームのエンゲージメントを高める最高の手段だ。(中略) 積極的に社員を承認する企業は、そうではない企業と比べて社員の自発的退社が 31% 少ない」。
どんな小さなことでも「やったぜ!」とよろこんでいきたいねぇ、その方がめでたい毎日になるもんな
ぼくが何気なく伝えた称賛の言葉が意外とよろこばれていた、って経験はあるから、感覚としてわかる気もする
1つひとつの拍手は事業の成功への一歩であり、それこそがOKRとCFRの最大の目的である。それを心に刻んでおこう。
クラップユアハンズ
第16章 年次勤務評定を廃止する――アドビのケーススタディ
6年前、ソフトウエア会社のアドビは、大方の企業と同じように昔ながらの年次勤務評定を実施していた。マネジャーは評定に従業員1人あたり8時間も費やしており、誰にとってもやる気を削がれるプロセスだった。毎年2月には、がっかりするような評定結果を受け取ったコントリビューターが才能を活かせる場を求め、自主退職が急増した。会社全体では、マネジャークラスの8万時間分の労働(実にフルタイム社員 40 人分の年間労働時間に匹敵する)を、特段価値を生まない機械的プロセスに費やしていたのだ。
2012 年までは Adobe もそんな感じだったんですねぇ
チェックインには最低限のルールしかなく、トラッキングや書類作成は行わない。手軽で柔軟で透明性の高いプロセスだ。重視している分野は3つある。四半期ごとの「目標と期待事項」(アドビ版OKR)、定期的フィードバック、キャリア開発と成長だ。面談はコントリビューターが設定し、報酬とは切り離されている。従来は相対評価によって強制的に評価を分散させていたが、代わりに年1回「報酬決定チェックイン」が開かれることになった。マネジャーは研修で、従業員のパフォーマンスや事業への貢献、技能の相対的希少性、市場環境に基づいて報酬を決定する方法を学ぶ。絶対的指針は存在しない。
Adobe 流として生まれたやつ、OKR と共通する要素があったってことか
チェックインが導入された2012年秋以降、アドビの自主退職は大幅に減少した。
すごい〜 よかったね!
アドビには創業時から4つのコアバリューがあった。「本物」「卓越」「革新」「熱意」だ。かつての年次評定プロセスはそのすべてに反していた。
やばい…
アドビの経験を振り返ると、継続的パフォーマンス管理システムには3つの要件があると思う。1つめは経営幹部の支援。2つめは会社の目標や、それが個人の優先事項とどう結びついているかが明確であること。アドビの場合、OKRに相当する「目標と期待事項」がこの機能を果たしている。3つめが、マネジャーやリーダーが自らの役割をしっかり果たせるように研修に投資することだ。アドビでは社員を外部の講座に送らず、1時間のオンライン講座を多数提供している。そこでロールプレイのスキットを見せ、「フィードバックの方法を改善したいですか? 正しいやり方はこうですよ」などと教えている。
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第17章 明日はもっとおいしく焼こう――ズーム・ピザのケーススタディ
ここまで見てきたとおり、OKRとCFRはパフォーマンスを高め、爆発的成長を遂げるための手段として有効性が証明されている。それに加えてもっとささやかな、社内で日々実感できるような効果もある。経営幹部が成長する、目立たないコントリビューターが評価されるといったことだ。圧倒的成功をつかむまでの長く過酷な道のりにおいて、OKRとCFRは組織の日々の改善を後押しする。
これはいいね、こういうの好みです
パソコンやモバイルアプリから入った注文がズームのコンベアベルトに伝えられると、ロボットが生地を伸ばして成形し、ソースを塗り、400度以上のオーブンに安全にスライドさせる。ロボット技術が成熟するのにともない、今後はチーズの追加や追加トッピングを載せる、半焼けのピザをトラックに乗せるといった製造工程のすべてを自動化する計画だ。トラックもアルゴリズムで動いており、顧客の家に向かう道中もピザを焼きつづける(将来的にはトラックも自動運転車になる可能性が高い)。
伝統的な経営モデルでは、経営者の社内での地位が高くなるにつれて、その役割は抽象的になっていくとされる。中間管理職がバッファーとなって日々の雑事を受けとめてくれるので、経営者は全体像に集中していられる、と。それは変化の速度が遅い時代なら機能したかもしれない。だが私の経験では、OKRはトップに立つ人々が徹底的にコミットしなければ効果が高まらない。
『ティール組織』を読んだときにもね、トップが極めて大事ってのはたびたび感じた 社会人になって間もない、まだコントリビューターであるあいだは、自分のした仕事の量と質で評価される。しかしある日突然、マネジャーになる。有能な仕事ぶりで、管理する部下の数が次第に増えていったとしよう。そうなると、もはや仕事の量で評価されるわけではなくなる。意思決定の質だ。しかし基準が変わったことは誰も教えてくれない。だから壁にぶつかると、もっと頑張って働けばいいんだと思う。そうやってここまで来たのだから、と。
OKR、こういう課題にも効果を出すのか〜 なるほどなあ
90 ページにおよぶOKRの論文を書くわけにはいかないので、的確かつ簡潔になる。3~5つの項目を選び、それをどのように測定するかを具体的に示さなければならない。そうした経験を重ねれば、「明日からマネジャーだ」と言われたときには、すでにマネジャーらしい思考ができるようになっている。これは非常に意味がある。
このようにOKRは人を育てる。経営幹部を強くし、新米幹部ならではの過ちを防ぐ。ほんの小さな会社に、大企業になっても有効な厳格さとリズムを植えつける。ズームでOKRを導入したとき、すぐに明らかになったメリットは、こうしたプロセスができたことそのものだ。社員は事業について思慮深く、透明性のあるかたちで、相互のつながりを意識しながら考えなければならなくなった。それだけで彼らの仕事ぶりは大きく改善した。
第4四半期も会社の目標は私たち2人が書いたが、「主要な結果」については部門長たちが議論に加わった。それはとても良いことだった。彼らがクリエイティブに関与するようになったことで、OKRの質は高まった。会社の目標は依然としてかなり野心的だったが、社員はそれまで以上に実現可能だと感じるようになった。
人々の変化がすごいなあ、ワクワクしてくる
第18章 文化
「文化は戦略を簡単に打ち負かす」と言われる。文化は組織の信念を表すもの、仕事に意義を与えるものだ。
そこまでの力があると言われているのか
技術者であるグローブは文化を効率性と同一視した。迅速で、より信頼性の高い意思決定のマニュアルである、と。会社に文化的まとまりがあれば、進むべき道は理解されている。
なるほど、技術者っぽい捉え方に思える
企業文化の価値観に従っている人、すなわち知的な企業市民は、同じような状況で一貫した行動をとる。これは経営者が堅苦しいルール、手順、規定から生じる非効率に悩まされずに済むことを意味する。
ルールじゃなくて文化で行動を創るのいいな、そうありたいものだ 集団的責任、果敢なリスクテイク、測定可能な成果など、アンディ・グローブが重視した特性は、すべてグーグルも非常に重きを置いている。グーグルが社内180チームを対象に行った調査「プロジェクト・アリストテレス」では、次の5つの質問への答えがイエスであるほど、傑出した成果に結びつく傾向が高いことがわかった。
継続的パフォーマンス管理が広がるなか、年1回の従業員意識調査に代わり、リアルタイム・フィードバックが使われるようになっている。注目される手法の1つが「パルシング」で、シグナルをとらえるための質問票を使い、オンラインで企業文化のスナップショットを確認する。質問票は人事部門主導で2週間に1回、あるいは月1回配布してもいいし、定期的にメールが自動送信される仕組みでもいい。いずれにせよパルシングはシンプルですぐに回答でき、幅広い項目をカバーする。
OKRが目標達成のための筋肉を鍛えるとすれば、CFRは柔軟性と反応を良くするための腱を強くする。パルシングは組織の健康をリアルタイムで測定する。体と心、つまり業務と文化の健全性だ。
筋肉、腱、なるほど?(よくわかっていない)
2007年、傑出した経営思想家のダヴ・シードマンは名著『人として正しいことを』を発表した。その前提となるのは、組織における人々の行動、あるいは仕事の方法は文化によって決まるという考えだ。オープンソースでハイパー・コネクテッドな 今日 の世界において、企業を特徴づけるのは製品群や市場シェアではなく、その行動だ。最近会ったとき、ダヴは私にこう言った。「他者にまねされたり、コモディティ化しないのは文化だけだ」と。
ダヴはこう語る。「従業員が次にやるべき仕事をこなせばよかった時代、つまり指示されたとおりに動けばよかった時代には、文化はさほど重要ではなかった。だが今、私たちが身を置くのは、従業員に 次にやるべき正しい仕事 をしてもらわなければならない時代だ。ルールブックを見れば、やってよいことといけないことは書かれている。しかし やるべきこと を見きわめるには、文化が必要だ」
結局のところ一番重要なのは、私たちが1つにまとまることだ。「協力すること、すなわち 他者とつながる能力 こそが、成長とイノベーションの原動力だ」とダヴは指摘する。
OKR によって協力の文化を醸成する、ってことかな
第19章 文化の変革――ルメリスのケーススタディ
組織が完全にオープンになること、そして責任を明確にすることへの備えができていないときには、OKRを導入する前に、まずは文化を改革する必要があるかもしれない。ジム・コリンズが『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』に書いたように、まずは「正しい人たちをバスに乗せ、間違った人たちをバスから降ろし、そして正しい人たちに正しい座席を割り振ること」が必要だ。そうして初めてハンドルを切り、アクセルを踏むことができる。
OKR の下地となるような文化がないと、そこに OKR は乗せられない、と
私は組織改革に乗り出す前に、まずは組織を理解しようと努める。しかし入社して2四半期が過ぎても、OKRプロセスを存続させるべきだという確信が持てなかった。非公開の取締役会議で、私はジョン・ドーアに尋ねた。「このツールがルメリスに適さないと思ったら、やめてもいいですね?」と。するとジョンは「もちろん」と答えた。すでに私には、根本的問題がわかっていた。受動的攻撃アプローチ、つまり消極的に取り組んでプロジェクトを頓挫させる姿勢だ。「OKRが私に何の関係があるのか」というルメリスの誰もが抱いていた基本的な疑問に、誰も答えていなかったからだ。OKRプログラムは純粋に、目標設定と協力的コミュニケーションを促すことを目的としていたが、社員は信頼していなかった。環境を変えなければ、OKRが成功する見込みはないだろう。
組織の文化の変革をミッションとする人、どんな強靭な気持ちで取り組むのだろう、すごいなあ
流れは変わった。「私は完全な否定論者だったが、今では私にも役立つかもしれないと思うようになった」という声が聞かれるようになった。パイロットグループのうち、 98%はOKRプラットフォームのアクティブユーザーとなった。 72%が会社の目標に沿った目標を最低1つは設定するようになった。そして 92%が「マネジャーから何を期待されているかがわかった」と回答した。
すごいなあ
スミスにとって嬉しい驚きだったのは、運営・サービス・チームが自分たちの目標をスミスのチームの売上目標と直結させたことだ。「かつては『オレはサービス、おまえは営業。つべこべ言わずに自分の仕事をしろ』といった空気があった。それが今では『オレはここにいるぞ! 何か力になれることはないか』に変わった。OKRプロセスがこんな結果をもたらすとは、予想もしていなかった」
本当にすごい
第20章 文化の変革――ボノのONEキャンペーンのケーススタディ
ONEはその成長の過程で、OKRを抜本的な文化改革を進める手段として活用した。アフリカの ための 活動から、アフリカ で、アフリカとともに 活動する組織へと転換を進めたのだ。デビッドは私にこう語った。「途上国支援に対する認識は劇的に変化し、そうした国々に自ら成長する力を与えることに重きが置かれるようになっている」
U2には初めからどでかい目標があった(きわめて早い時期から誇大妄想狂だった、とも言える)。エッジはもともとギタープレーヤーとして評価が高く、ラリーもドラマーとしてかなりの腕前だった。だがオレの歌はへたくそで、アダムはそもそもベースがまったく弾けなかった。それでオレたちはこう考えた。「他のバンドほどうまくない。だからやつらがどうやってもできないことをやろう」とね。
ONEの土台は情熱ではない。道義的怒りでもない。われわれの土台となるのは揺るぎない理念であり、それを支える壁や床に相当するのがOKRという思考の枠組みだ。
第21章 これからの目標
OKRはツール、プロトコル、あるいはプロセスと見ることもできる。だが私のイメージとしては、発射台が一番近い。次世代の企業家や仕掛け人が大きく羽ばたくための出発点だ。
「結局 OKR ってなんなの!」とは思う、エピソードを読めば読むほどねw
オーリーはカリフォルニア州マウンテンビューの小学校「カーン・ラボ・スクール」で、すべての児童にOKRを実践させている(あなたが5、6歳の子供で、算数や読み書きを習うかたわら、自分の「目標と主要な結果」を設定している姿を想像してみてほしい)。
OKR 小学校、すごすぎる!